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局所排気装置(塗装ブース)とは? 仕組み・種類・法律・選び方を専門家がわかりやすく解説

塗装現場において、スプレー塗装や乾燥の工程で発生する有機溶剤の蒸気や、塗料ミストなどの有害物質対策は避けて通れない課題です。
これらの有害物質は、作業者の健康に深刻な悪影響を及ぼすだけでなく、作業環境の悪化や、有機溶剤中毒予防規則(有機則)などの法令違反による罰則リスクにも直結します。

作業者の健康を守り、安全で法基準を満たした作業環境を維持するために不可欠な設備が「局所排気装置(塗装ブース)」です。
しかし、いざ導入や見直しを検討するとなると、「自社の塗装工程にはどの型式が最適なのか」「法定の制御風速をクリアするにはどうすればいいのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。

こちらのページでは、塗装現場における局所排気装置(塗装ブース)の基本的な定義や仕組み、主要な種類(プッシュプル型や開放型など)の違いから、設置・運用に関する法的義務、そして失敗しない適切な装置の選び方まで、実務に役立つ情報を解説します。


1. 局所排気装置(塗装ブース)とは?

① 局所排気装置の定義(塗装ブース)

塗装工程で発生する有機溶剤の蒸気や塗料ミスト(有害物質)を、発生源のすぐ近くで効率的に吸引・排出、または浄化して取り除くための設備です。

局所排気装置とは

塗装現場では、一般的に「塗装ブース」や「排気ブース」とも呼ばれます。
有害物質が作業者の呼吸域(空気を吸い込む範囲)に広がる前にその場で捕集できるため、作業者の*有機溶剤ばく露を防ぎ、健康障害を予防するうえで最も効果的な対策とされています。

*有機溶剤ばく露
 シンナーや塗料に含まれる有機溶剤の成分(ガスや蒸気)を、作業者が体内に吸い込んだり、皮膚に触れたりしてしまうことです。
 労働安全衛生法の「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」という法律で、作業者が基準値(管理濃度)を超えてシンナーなどの成分を吸い込まないように対策することが義務付けられています。

② 基本的な仕組み

局所排気装置(塗装ブース)は、方式(乾式・湿式)に関わらず基本的に5つの要素で構成されています。ここでは、「湿式(水を使って浄化するタイプ)」の装置を例に、その仕組みを見ていきましょう。

局所排気装置(塗装ブース)の仕組み

1. フード(吸引口): 有害物質(塗料ミストや粉じん)の発生源を囲い、汚染空気を効率よく捕集する部分です。

2. ダクト(空気通路): 捕集した汚染空気を、装置内部の清浄エリアへと導く管路です。

3. 空気清浄装置(水槽・渦巻室・エリミネータ): 水を利用して有害物質を除去する心臓部です。汚染空気を水面に衝突させ、渦巻室で水と激しく混合させてキャッチします。最後に「エリミネータ(気液分離板)」で水滴だけをブロックし、綺麗な空気のみを通します。

4. 排気ファン: 汚染空気をフードから吸い込み、装置内を通過させて屋外へ送り出すための動力源です。

5. 排気口: 湿気と有害物質が取り除かれ、浄化された空気だけを屋外へ排出する部分です。

これらの要素が連携することで、発生源から有害物質を効率的に捕集し、作業環境を清浄に保ちます。

③ 全体換気との違い

作業場の換気方法には、局所排気装置(塗装ブース)による「局所換気」と、工場全体の空気を入れ替える「全体換気」があり、それぞれ用途に応じて使い分けられます。

局所換気(局所排気装置) 全体換気
目的 発生源からの有害物質のピンポイント除去 作業場全体の空気の希釈・入れ替え
適用範囲 有害物質の発生源が特定できる場合 有害物質が広範囲に拡散する場合、または熱対策など
捕集効率 高い(発生源で直接捕集) 低い(希釈が主目的)
エネルギー効率 比較的高い(必要な場所のみ換気) 低い(広範囲の空気を換気するため)
設置例 溶接作業、有機溶剤使用作業、粉じん発生作業など 一般的な工場、倉庫、事務所など
  

塗装業務における「全体換気」「局所排気」「プッシュプル換気」の違いや、それぞれの長所・短所については、塗装ブースの種類について⇀で解説しています。
現場に合わせた最適な排気方法の選定にお役立てください。

2.局所排気装置(塗装ブース)の種類と特長

局所排気装置(塗装ブース)は、有害物質の発生源や作業内容に応じて様々なタイプがあります。
局所排気装置(塗装ブース)の種類についてはこちらのページでも解説しております。

① 囲い式ブース

囲い式ブースは、発散源を壁や天井で覆い、内部の汚染空気をファンで吸引する最もスタンダードなタイプです。
有害物質が発散する場所を「コの字型」にぐるりと壁で囲い込む構造のものを「囲い式フード」と呼びます。

囲い式

一般的な吹き付け塗装作業では、この「囲い式」が多く採用されています。

アネスト岩田では、この囲い式ブースをベースに、塗料ミストをキャッチする方式の違いで「湿式」と「乾式」の2種類をご用意しています。

囲い式局所排気装置 特長 向いている作業・環境
湿式ブース(ベンチュリーブース)※水流板なし


ベンチュリーブース製品一覧

水を使って塗料ミストをしっかり捕まえる仕組みが最大の特長です。
塗料の種類にもよりますが、96〜97%という高い割合で塗料の粒子を取り除けるため、周囲に塗料が飛び散りにくく、作業環境を清潔に保てます。 また、サイズや仕様のバリエーションが豊富に用意されているので、工場の広さやレイアウトに合わせて最適な機種を選ぶことができます。
◎毎日、長時間にわたって塗装を行うお客様
◎1日に消費する塗料使用量が多いお客様
湿式ブース(水流板付きベンチュリーブース)


水流板付きベンチュリーブース製品一覧

ブース正面のパネル部分に水を流し続ける水流板があることで、正面パネルに塗料が直接付着するのを防ぐことができ、水流板なしタイプに比べて、さらなる作業環境の改善につながります。 水流板は曲面形状になっており、水膜を安定させることで、ミストの捕集効果を高めています。 さらに、水流板・整流板・オーバーフロー槽(水があふれた際に受け止める部分)はすべて着脱式になっているため、取り外して丸ごと洗浄することができ、優れたメンテナンス性を実現しています。 ◎毎日、長時間にわたって塗装を行うお客様
◎1日に消費する塗料使用量が多いお客様
◎日々の清掃・管理の手間を削減したいお客様
◎ロボット塗装などで連続生産し、頻繁にブース内に入って清掃するのが難しいお客様
乾式ブース(バッフルブースなど)



乾式ブース製品一覧

水を使用せず、特殊なフィルター(バッフル板)に塗料ミストを衝突させてろ過・捕集するタイプです。

初期の設備投資や設置の手間を最小限に抑えたい現場に最適です。汚れたフィルターを定期的に交換するだけで、常に安定した捕集性能を維持できます。
ただ、大量の塗料を一日中吹き続けるラインでは、フィルターの交換頻度が高くなり、ランニングコストが上がってしまうため不向きです。また、自然発火のリスクがある塗料には使用できないという制約もあります。
◎1日に消費する塗料使用量が少ないお客様
◎2階以上の階、耐荷重に問題があるフロアへの設置が必要なお客様
◎水の手配や、排水処理の管理(産廃処理など)の手間を減らしたいお客様

② プッシュプル型換気装置

プッシュプル型換気装置は、空気を送り出す「プッシュフード」と、汚染空気を吸い込む「プルフード」を組み合わせて、気流を制御しながら有害物質を排気側へ導く方式です。

1. 給気口:新鮮な外気を室内に取り入れる窓口です。フィルターでゴミやホコリを除去します。

2. プッシュ側(捕捉気流):均一な風を吹き出し、発生した有機溶剤のガスを作業者から遠ざけるように押し流します。

3. 有機溶剤(中央の作業面):洗浄や塗装などで発生する有害なガス(蒸気)です。空気より重いため、床面付近に滞留しやすく、低い位置に広がりやすい性質があります。

4. プル側(吸引気流):プッシュ側から送られてきたガスと空気を、フードでまとめて残さず吸い込みます

5. 排気口:吸い込んだ有害なガスを、ダクトとファン(排風機)を使って建物の外へ安全に排出します。


広い作業空間や、発生源が広範囲にわたる場合に有効で、安定した捕集性能を発揮します。大型の設備やライン作業などで利用されることが多いですが、気流設計が複雑であり、専門的な知識と調整が求められます。
不適切な設計は、かえって有害物質の拡散を招く可能性があるため、最適な気流設計と導入のご相談は、塗装設備の専門メーカーであるアネスト岩田までお気軽にお問い合わせください。

上記イラストのような、作業エリアを壁で囲わない「開放型」のほかに、プッシュプル型換気装置には「密閉型(一室式)」もあります。
作業空間全体を完全に部屋として隔離し、天井から床へと風を吹き下ろすことで、有害なガスが外に漏れるのを防ぐ仕組みです。

3. 局所排気装置(塗装ブース)の設置が義務付けられる法律

局所排気装置(塗装ブース)の設置は、労働者の健康と安全を守るために、日本の複数の法令によって義務付けられています。これらは個々に独立しているわけではなく、基本法である「労働安全衛生法」を最上位とし、取り扱う有害物質や作業内容に応じて、より具体的な義務を定めた「各予防規則(厚生労働省令)」が下位に位置する法体系となっています。

局所排気装置(塗装ブース)の設置義務のチェック画像

労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は、労働災害の防止を目的とした、安全衛生対策の基本となる最上位の法律です。この法律に基づき、有害な業務を行う作業場には、適切な換気設備や排気設備を設置することが義務付けられています。局所排気装置(塗装ブース)は、この「適切な排気設備」の代表例であり、特に有害物質を取り扱う作業場においては、その設置が強く求められます。

🌐e-Gov法令検索:労働安全衛生法 外部リンク

労働安全衛生法に基づく下位の個別規則(省令)

労働安全衛生法が定める「適切な排気設備の設置義務」について、取り扱う有害物質の種類や作業内容に応じて、より具体的な実務ルールを定めた下位の規則(厚生労働省令)が以下となります。塗装作業の特性に合わせ、該当する規則に適合した設備選定が必要です。

■ 有機溶剤中毒予防規則(有機則)

本規則は、有機溶剤による労働者の健康障害を防止するための規則です。有機溶剤を使用する作業場では、その種類や使用量に応じて、局所排気装置(塗装ブース)またはプッシュプル型換気装置の設置が義務付けられています。また、これらの装置の性能基準や、定期的な点検・検査についても詳細に定められています。

🌐厚生労働省:有機溶剤を正しく使いましょう 外部リンク

■ 特定化学物質障害予防規則(特化則)

特定化学物質障害予防規則(特化則)は、特定化学物質による労働者の健康障害を防止するための規則です。特定化学物質を取り扱う作業場では、有機則と同様に、局所排気装置(塗装ブース)やプッシュプル型換気装置の設置が義務付けられています。対象となる化学物質の種類が多岐にわたるため、取り扱う物質に応じた適切な排気設備の選定と管理が重要です。

🌐厚生労働省:有機溶剤中毒予防規則 特定化学物質障害予防規則等について 外部リンク

関連法令一覧
📋局所排気装置(塗装ブース)設置等に関する関連法令一覧
法令 主な対象ケース 相談・届出の窓口 届出期限の目安
労働安全衛生法 局所排気装置(塗装ブース)等の設置(有害業務に該当する場合)=機械等設置届 所轄の労働基準監督署 設置工事開始日の30日前までに
有機溶剤中毒予防規則 有機溶剤を使用する作業場での局所排気装置(塗装ブース)の設置、定期自主検査・健康診断の実施 所轄の労働基準監督署 設置後は定期報告(年1回等)
特定化学物質障害予防規則 特定化学物質を取り扱う作業場での局所排気装置(塗装ブース)の設置、定期自主検査・健康診断の実施 所轄の労働基準監督署 設置後は定期報告(年1回等)

局所排気装置(塗装ブース)のその他関連法規

局所排気装置(塗装ブース)を設置・運用する際は、作業者の健康を守る労働安全衛生関係の法律だけでなく、安全管理や周辺環境の保全に関するさまざまな法令への対応も必要となります。

📋関連法令・届出窓口 一覧表

法令 主な対象ケース 相談・届出の窓口 届出期限の目安
消防法 塗料の貯蔵量が指定数量以上、火気使用設備の設置 所轄の消防署(予防課) 設置工事日の7〜10日前までに(自治体条例により異なる)
水質汚濁防止法 湿式塗装ブース(水で塗料ミストを回収するタイプ)で排水先が公共用水域(川・海)の場合 環境課・保健所 設置工事開始日の60日前までに
下水道法 湿式塗装ブース(水で塗料ミストを回収するタイプ)で排水先が公共下水道の場合 下水道課 設置工事開始日の60日前までに
騒音規制法 排気ファンのモーター出力が7.5kW以上(規制地域内) 所轄の環境局・環境課 設置工事開始日の30日前までに
廃棄物処理法 メンテナンスで発生するスラッジ・汚泥の処理 処理業者への委託(自治体への事前届出は不要) 該当なし(委託契約・マニフェスト管理が中心)

※上記はあくまで一般的な目安です。自治体・設置場所・設備規模により基準や必要書類は異なるため、計画段階で早めに各窓口へ事前相談を行ってください。

■消防法

局所排気装置(塗装ブース)を設置する際は、使用する塗料の量や設備の構造により、消防法に基づく『少量危険物貯蔵取扱届出』や『火気使用設備等設置届』などの手続きが必要になる場合があります。各自治体の火災予防条例によって提出書類や基準が異なるため、設置前に必ず『所轄の消防署(予防課)』へご相談ください。

■水質汚濁防止法・下水道法

湿式塗装ブース(水を使って塗料ミストを回収するタイプ)を導入する場合、「廃ガス洗浄施設」に該当するため、事前に行政機関への設置届出や水質管理が必要になります。

【届出の期限】
原則として、ブースの設置工事を開始する「60日前まで」に申請手続きを完了させる必要があります。

【相談・届出の窓口】
局所排気装置(塗装ブース)の排水を「下水道」へ流す場合は自治体の下水道局(下水道課)、「川や雨水溝(公共用水域)」へ流す場合は自治体の環境担当窓口(環境課や保健所など)になります。

【必要な準備】
指定の届出書のほか、局所排気装置(塗装ブース)の以下の資料の添付が必要になります。

  • 構造図(図面)
  • 排気・排水の系統図
  • 排水処理の計画書

※自治体や設置する場所(工業地域、商業地域など)によって、詳細な排水基準や提出書類のルールが細かく異なります。局所排気装置(塗装ブース)の仕様や設置計画が決まった段階で、まずは設置地域の担当窓口(下水道課や環境課)へお早めにお問い合わせ・事前相談を行ってください。

🌐e-Gov法令検索:水質汚濁防止法施行規則 外部リンク

■騒音規制法

排気ファン(送風機)のモーター出力が一定規模(7.5kW以上)を超える場合、特定施設として設置に関する届出が必要となるケースがあります。

【対象となる地域】
すべての工場・地域が対象になるわけではなく、都道府県知事(または指定都市の長)が指定した「規制地域」内に設置する場合が対象です。工場を設置する地域が規制地域に該当するかどうかは、事前の確認が必要です。

【届出の窓口・期限】
規制地域内に設置する場合は、工事着手日の「30日前まで」に、所轄の行政機関(環境局・環境課など、自治体により名称が異なります)へ届出を行う必要があります。

※規制地域の指定状況や規制基準(デシベル)は自治体ごとに異なります。設置前に必ず所轄の窓口へ確認しましょう。

🌐環境省:「騒音規制法」パンフレット 外部リンク

■廃棄物処理法

ブースのメンテナンス時に発生するスラッジ(塗料かす)や汚泥は「産業廃棄物」に該当するため、適切な処理業者への委託と処理基準の遵守が義務付けられています。 なお、使用する塗料が引火性の高い溶剤系である等、廃液が有害性の高い性状を持つ場合は、 より規制の厳しい「特別管理産業廃棄物」に該当することがあります。

🌐環境省:特別管理産業廃棄物の処理基準の概要 外部リンク

4. 運用上の義務と注意点

局所排気装置(塗装ブース)は、設置するだけでなく、適切に運用・管理することが重要です。法令で定められた主な義務と注意点は以下の通りです。

① 労働基準監督署への設置届

労働安全衛生法に基づき、特定の局所排気装置(塗装ブース)を設置、移転、または主要構造部分を変更する際には、工事開始の30日前までに所轄の労働基準監督署長に届出を提出する義務があります。この届出を怠ると、法令違反となりますので注意が必要です。

当社の局所排気装置(塗装ブース)関連資料ページでは、申請時に必要となる以下の各種サンプルや原紙をダウンロードいただけます。

局所排気装置(塗装ブース)関連資料ページはこちら

また、書類作成や申請手続きに関するご相談・作成代行も承っております。「計算書の数値が合っているか不安」「手続きをスムーズに進めたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

② 定期自主検査の義務

局所排気装置(塗装ブース)の性能を維持し、適切に機能していることを確認するため、※1年以内ごとに1回、定期的に自主検査を実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。検査項目には、フード、ダクト、ファン、空気清浄装置などの各部の点検、風量の測定、異常の有無の確認などが含まれます。検査結果は記録し、3年間保存する義務があります。

 ※1年以内ごとに一回:前回の検査から、次の検査までの期間を1年以上あけてはいけません

項目 内容(労働安全衛生法で義務付け)
実施頻度 1年以内ごとに1回
(※前回の検査から1年以上あけてはいけません)
主な検査対象 フード、ダクト、ファン、空気清浄装置 など
主な検査内容 各部の点検、風量の測定、異常の有無の確認
結果の保存 3年間保存(記録を残す義務あり)

③ 作業主任者による点検

有機溶剤や特定化学物質を取り扱う作業場に設置された局所排気装置(塗装ブース)については、1ヶ月以内ごとに1回、作業主任者による点検が義務付けられています。この点検では、装置の異常の有無や、適切に稼働しているかなどを確認します。鉛を取り扱う作業場では、毎週1回以上の点検が必要です。

これらの義務を遵守することで、局所排気装置(塗装ブース)が常に最適な状態で稼働し、労働者の健康と安全が確保されます。

      
対象の作業場(物質) 点検の頻度 点検を行う人 主な点検内容
有機溶剤
特定化学物質
1ヶ月以内ごとに1回 作業主任者
(有機溶剤/特定化学物質)
・装置に異常がないか
・適切に稼働しているか
・外見の破損や異音の有無

5. 局所排気装置(塗装ブース)の選び方のポイント

適切な局所排気装置(塗装ブース)を選定することは、有害物質の確実な除去と作業環境の最適化に直結します。以下のポイントを考慮して、自社のニーズに合った装置を選びましょう。

ブース簡易選定はこちら

① 対象となる有害物質の性質

局所排気装置(塗装ブース)は、取り扱う物質が有機則(第1種〜第3種)や特化則などのどの法律に該当するかによって、必要なフードの形状や法律で定められた「制御風速(吸引パワー)」が厳格に決まっています。
個人の感覚や有害物質の比重(重さ)だけで装置を選ぶと、法令違反や能力不足になるリスクがあります。

必ず対象物質のSDS(安全データシート)を確認し、法的な基準を満たす機種を選定してください。

🌐厚生労働省:職場のあんぜんサイト SDS(安全データシート) 外部リンク

ブース簡易選定はこちら

②作業内容に適した設備の検討

取り扱う物質の該当する法規制が確認できたら、次は作業内容や作業者の動きに合わせてフード(吸込口)の形を選びます。
ただし、法律(有機則・特化則)によって「原則、囲い式」と優先順位が定められています。
作業の利便性を優先して「外付け式」を選択する場合、囲い式に比べて数倍以上の大きな排気風量(吸引パワー)が必要になります。
これにより、大型の送風機(ファン)の設置スペースが必要になったり、工場の契約電力を超えてしまったり、電気代などのランニングコストが跳ね上がったりするリスクがあります。
スペースの有無だけで判断せず、自社の電気設備や排気ダクトのルートが「必要な風量」に耐えられるか、トータルで検討する必要があります。

※必要な電気容量の計算や、屋外へのダクト配管ルートの選定など、自社での判断が難しい場合は、事前に設備担当(または専門の施工業者)へご相談ください。

③メンテナンス性

局所排気装置(塗装ブース)は、設置後も性能を維持するために定期的な清掃やフィルター交換(メンテナンス)が不可欠です。
メンテナンスを怠ると、ダクト内部に粉じんや有機溶剤の成分が堆積し、「吸引パワーの大幅な低下(作業者の健康被害)」や「引火によるダクト火災・爆発」などの災害が発生する可能性があります。

また、前述の通り「1年以内ごとに1回の定期自主検査」と「3年間の記録保存」は法律で義務付けられています。 導入時には、日常の清掃や定期検査(消耗品の交換など)が確実に行える構造であるか、またそのランニングコストや点検体制を維持できるかあわせて確認しておくことが大切です。

④コスト

局所排気装置(塗装ブース)のコストを検討する際は、本体の購入金額だけでなく、設置に伴う「ダクト配管の工事費」や「工場の電気容量を増やすための電気工事費」が初期費用として別途かかってくる点に注意が必要です。
また、運用開始後には毎月の電気代や定期的なフィルター交換費用だけでなく、法律で義務付けられている「1年ごとの定期自主検査を外部業者に依頼する費用」も発生します。
初期費用を抑えようとして安易な機種を選ぶと、後からの工事費や毎年の維持費が膨らんでしまうケースもあるため、導入にかかる総額と運用コストのバランスをあらかじめ見込んでおくことをおすすめします。

6. まとめ

局所排気装置(塗装ブース)は、作業者の健康を守り、安全な作業環境を維持するためにとても大切な設備です。
これまで解説した通り、その選定や運用には取り扱う「有害物質の法規制」の確認から、フード形状による「風量・電気設備の検討」、そして「定期的な点検・メンテナンス」にいたるまで、多くのステップが深く関わっています。
単に形やスペースだけで判断せず、法律に定められた基準を正しく満たした装置を適切に導入・管理していくことが、結果として工場全体の安心と安定した操業につながります。まずは対象となる物質のSDSや、設置場所のダクト・電気環境の確認から一歩ずつ進めていきましょう。

些細な疑問やご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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