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真空ポンプの基礎知識

ドライポンプ

ポンプ内部のガス経路に一切油を使用せず、しかも吐出口を大気に開放したまま排気できる機械式ポンプです。80年代後半に日本で開発され、クリーンでメンテナンス性にも優れるため半導体産業を中心に急速に普及しています。圧縮方法によってル-ツ型・クロー型・スクリュー型・ターボ型・スクロール型などに分類でき、基本的にはコンプレッサと同一原理の機構です。

オイルフリースクロール真空ポンプの原理

     
スクロール本体の仕組み

スクロールは円のインボリュート曲線で形成された2個の円板が組み合わされたもので、一方は固定され(Fixed Scroll:FS)他の一方は、FSの中心軸に対して半径の円軌道上を旋回運動(Orbiting Scroll:OS)することで、吸入した気体を圧縮する機構です。

オイルフリースクロール真空ポンプの構造

動画のようにスクロールの外周部にある吸入口から取り入れられた気体は、OSの旋回運動とともに徐々に圧縮され、中心部の吐出口より排気されます。
360°毎同じ工程が繰り返し行われるため、1回転の間に吸入・圧縮・吐出の動きが連続されることとなり、1回転当たりのトルク変動が極めて小さく、さらに圧縮が連続して行われるため、吸入室と吐出室が隣接せず、ポケットの差圧が少ないことから漏れが少なく、高い効率を得ることが可能です。

スクロールの圧縮構造

さらに、スクロールの壁に溝を形成し、この溝にチップシールと呼ばれるシール材を挿入して接触摺動させることでより漏れをおさえています。
これらのことにより、ドライ(オイルフリー)においても高い到達度(1~750Pa)を実現しているスクロールは、非常に幅広い分野で活躍する機構です。

アネスト岩田のスクロールの特長

    

ISPシリーズ(ダブルラップ)

ISPシリーズの断面図

同じインボリュート形状を両サイドに持つスクロールで、スクロール中央に旋回の軸を持ち、OSをそれぞれ両サイドから支持することにより運動的に安定しており非常に少ない動力で済むことから振動が少なく高効率です。
また、スクロールのエアーポケットを両サイドに持つことによりシングルラップに比べ2倍の容積を確保し、少ない動力で多くのエアーを効率的に排気することが可能です。
密閉度が高く、漏れが少ない構造を持つことから、ドライでありながら安定したより高い性能を誇り、理化学機器や分析機器などの低振動、低騒音等が求められる用途で活躍しています。
ISP-500Cタイプにはさらに漏れを抑えたリークタイトモデルもラインナップしている他、安全増防爆仕様や特殊ガス回収仕様などカスタマイズにも対応しています。

    

DVSL/GVSシリーズ(シングルラップ)

DVSLシリーズの断面図

一対のインボリュート形状を持つスクロールで、軸受けが吸引したガスに接しない構造になっているため、水分を含んだガスを排気した際もダメージが少なくすみます。
その分OS外周部から漏れが発生しやすいため、動的なシール(Pシール)を加え、さらにチップシールにも特殊な加工を施しています。
スクロールの性能とコンパクトで低騒音という特長を活かした、シンプルで安価なスクロールとして水蒸気排気のある食品市場や一般工業向けに幅広く活躍しています。
DVSL-100/501シリーズには特殊な表面加工を施した、より水蒸気排気に強いハードコートモデルをラインナップしており、ISPシリーズ同様カスタマイズにも対応しています。