部品の役割と不具合(スクロールコンプレッサ)
自主点検
1カ月および6カ月ごとの自主点検をお薦めします。
1カ月ごと
ネジ部の締め直しを実施してください。
- コンプレッサが運転して振動すると、配管や継手のネジ部が緩むことがあります。
6カ月ごと
フィルタ、ファンの掃除を実施してください。
- 吸込みフィルタが目詰まりすると空気を吸い込む効率が落ち、無駄な電力を消費します。
- エアクーラーは高温の圧縮空気を冷却し、ドライヤの水分離性能を高める装置、オイルクーラーは高温になったオイルを冷却する装置です。どちらもファンに汚れが溜まると冷却機能が下がってしまいます。
定期メンテナンス
定期的にメンテナンスを実施することで、機械の長寿命化を計れます。一般的に予防保全は事後保全よりもメンテナンスにかかる費用を安く抑えられると言われています。
また、メンテナンス計画を明確にすることで計画的に予算を消化できる、突発の故障でダウンタイムによる損失を最小限に抑えることが可能になる、などのメリットがあります。
スクロールコンプレッサの定期整備は以下の期間で実施することを推奨します。
- 点検基準:年間の運転時間が2,500時間未満
- 運転時間または期間のいずれか早い方を基準に整備を行ってください。
<参考>SLP-110EG(D)定期点検整備基準表
交換基準 | ||||||||||||
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交換部品名 | 1年 2500hr |
2年 5000hr |
3年 7500hr |
4年 10000hr |
5年 12500hr |
6年 15000hr |
7年 17500hr |
8年 20000hr |
9年 22500hr |
10年 25000hr |
11年 27500hr |
12年 30000hr |
吸込みフィルタ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
グリスアップ | 〇 | |||||||||||
チップシール(チップシールセット) | 〇 | |||||||||||
ダストシール(チップシールセット) | 〇 | |||||||||||
バックアップチューブ(チップシールセット) | 〇 | |||||||||||
Vベルト 50Hz | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
Vベルト 60Hz | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
電磁開閉器(メンテナンスキット) | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
逆止弁(メンテナンスキット) | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みフィルタ(メンテナンスキット) | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みホース800 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みホース900 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みホース950 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みホース1250 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
吸込みホース1400 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
Oリング | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
クランク軸セット(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
ピンクランクセット(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
チップシールセット(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
組合せ玉軸受セット(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
Gシールセット(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
断熱パイプ(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
ダクトパッキン(1)(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
ダクトパッキン(2)(本体メンテナンスキット) | 〇 | |||||||||||
モータベアリング | 〇 | |||||||||||
スクロール本体 | 〇 | |||||||||||
点検・清掃・整備 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
- 交換基準は保証期間とは異なります。保証期間は1年間です。但し本体のみ2年間です。
- 部品代の他に別途出張費と作業工賃がかかります。
- 工賃には、出張費・産業廃棄物処理費用等の諸経費は含まれておりません。
- 整備期間は年間の運転時間が2,500時間を基準としていますが、基準を上回る場合は基準時間に達した段階で整備を実施してください。
- また周囲環境によって、点検整備を早める場合がございます。
- 整備基準は通常の使用方法に基づき算出されているため、環境や負荷条件が悪い場合には期間を短縮し計画的に実施をしてください。
当社の想定する通常の運転環境:周囲温度40℃以下かつ年間平均周囲温度30℃以下です。(周囲温度による影響が大きいので、ご注意ください)
上記表に記載のないオートドレンナについては、消耗品のため保証期間中であっても無償対応の対象外となります。
スクロールコンプレッサで点検する部品の役割と不具合
- 吸込みフィルタ
-
吸込みフィルタは、周囲の空気に含まれる不純物をろ過する役割を担っています。不純物が圧縮機本体に入り込むと、チップシールなどの部品が摩耗し、気密性が低下する原因になります。また、フィルタが詰まっているとコンプレッサの吸い込む空気量がへり、吐出し空気量が低下します。
- グリスアップ
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ベアリングの潤滑のために充填されているグリスです。グリスが切れると圧縮機本体、モータの故障につながります。
- チップシールセット
-
スクロールコンプレッサ本体の圧縮室に取り付けられているシール材のセットです。スクロールコンプレッサの本体は二つのスクロール(渦巻状の部品)が組み合わさって圧縮室を構成しており、チップシールはこのスクロールの隙間を埋めて気密性を保つとともに、スクロール同士が接触して傷つくのを防いでいます。摩耗すると圧縮効率が悪くなり、電気代が高くなるなどの影響があります。
- Vベルト
-
コンプレッサの電動機のオンとオフの切り替えを制御する部品です。マグネットスイッチとも呼ばれます。電気信号によって接点の開閉を行なう電磁接触器と、過電流が流れた時に電流を遮断してモータを保護するサーマルリレーの二つの部品で構成されています。
コンプレッサの運転を制御する部品なので、故障すると圧縮機本体の破損につながります。 - 電磁開閉器
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圧縮機本体にオイルを注入するために、セパレータタンクに必要最低限の圧力を保つためのバルブ。
故障すると圧縮機本体にオイルを供給することができなくなり、圧縮機本体の故障原因になります。 - 逆止弁
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圧縮機本体と空気タンクの間に設置されている弁で、一方向にだけ空気を流すため、送り出された空気が空気タンク側から逆流しないように押しとどめる役割をしています。逆止弁が正常に閉じていないと、再起動時に余計な負荷がかかってサーマルリレーが働く原因になります。
- 吸込みホース
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吸込み口から圧縮機本体まで、吸い込んだ空気を送るホースです。劣化すると無駄なエア漏れが発生するだけでなく破断する恐れがあります。 - Oリング
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パイプの接合部の漏れを防ぐシール部品です。アネスト岩田のスクロールコンプレッサには、圧縮機本体の空気取入口の部分にOリングがあります。
- クランク軸セット・ピンクランクセット
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スクロールの旋回運動を作り出している軸です。1本の主軸(クランク軸セット)と3本の補助軸(ピンクランクセット)で構成されています。動きが悪くなると、圧縮機本体の故障につながります。
- 組み合わせ玉軸受けセット
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ピンクランクセットを受けるボールベアリング類のセットです。
- ダクトパッキン
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圧縮機本体側面のファンダクトを取り付ける際に使うダクトです。
- モータベアリング
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電動機の軸受け(ベアリング)です。劣化するとモータの破損につながります。
ドライヤ付き型番専用の部品
- オートドレンナ
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圧縮空気から分離した水を排出します。ドライヤ付き形式の筐体側面に付いています。